naph + Chihei Hatakeyama / Air                               

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『空気』と『まどろみ』がテーマ


2011.09 新宿の某カフェにて
左:Chihei Hatakeyama 右:naph


−お二人でアルバムを作ることになったきっかけは?
naph:
2010年の2月に、CMFLGの小野寺さんに"池袋リンゴヤ"でのイベントに呼んでいただいた際にこのアルバムの1曲目"Air"を収録したのですが、いいセッションだったのでアルバム制作を決めました。
Chihei Hatakeyama(以下Chihei):ライブでのセッションが予想を超えて素晴らしく、お互いそう感じたのですぐアルバムを作ってみようという流れになりましたね。

−アルバム'Air'のテーマやコンセプトは?
Chihei:
アルバム・タイトルの通り、音を伝える『空気』という存在がテーマではもちろんあるのですが、それとは別に『まどろみ』も意識しました。『まどろみ』を辞書で調べると
〔名〕まどろむこと。しばらくとろとろと眠ること。
となっています。
眠っているのか、夢を見ているのか、意識があるのか、ボーダーライン上の意識状態の時にこういう音楽が気持ちよく体に入ってくるのではないかと思って、今回はその事を制作時に意識しました。

−具体的には?
Chihei:いくつかの曲ではミックス時にあえて音を減らしたりして、なるべく控えめな、あまり主張のないような、それでいて聴く側が主体的に聴くと無限に変化するような、理想としてはそんな音像を意識しました。

−お二人は、ソロでは違うスタイルの音楽を作っていますが、コラボするにあたってどんなことを話し合いましたか?
Chihei:実は二人でこういう音楽をやろうみたいな事を話したことがあまり記憶にないんです。言葉でのコミュニケーションは多くの場合、便利なのでしょうが、この手の音楽や即興では、事前の話し合いが音楽にいい影響を与えないことも多々有ることを経験してきました。自分を含めて、言葉に捕われてしまうという事態が起きる訳です。そこで最近では事前の話し合いはなるべくしないように努めています。
naph:そうですね。ただ、たまに認識がずれることもあるので、そのときはメールしたりします。"All The Frogs Are Our Week End"というバンドを一緒にやっているので、コラボした場合は"こうなるだろう"という漠然とした予測はありました。それにしても今回、畠山さんのサウンドが素晴らしく、想像を超えていましたよ!サウンド・コンセプトに対してのズレは全くなかったですね。

−ライブ・レコーディングが含まれていますね。
naph:1曲目 "Air"がライブ録音で、"TASCAM DR-1"というリニア PCMレコーダーで録りました。
Chihei:この曲の音像はかなり特殊なのですが、記憶だとステージのモニタースピーカーからの返しを録音していたように記憶しています。ライブでの音量もかなり小さめで、お客さんが話す声や、食器やグラスの音などが音楽と一体化して聴こえてきます。お客さんにライブが始まったことを意識させないように工夫した事を覚えていますね。
naph:音像については結果面白かった感じで、マイクの位置がよかったのかな?
Chihei:そうかも。現場での雑踏の音と同じようなフィールドレコーディングの音を使って、どこからどこまでが実際今いるライブハウスの雑踏音なのかわからない状況になっていたと思います。さらに良く聴くと機材をいじる音なども入っていますよ。


昼寝をしながら聴いてもらいたいアルバム


−その他の曲はどんな風に仕上げていきましたか?
Chihei:02.When you sleep、04.For JC、05.Stars、08.Long nightは、僕がまず曲の骨格を提示して、あとはファイル交換で進めていきました。
naph:僕から作り始めたのが06.Fountain、07.May、09.Hydrangea、10.Souvenirs。
06.は、僕が運営しているマスタリング・スタジオ"ambiencephono"でのセッション収録です。もっと長いセッションでしたが、いい部分を抜粋しました。
09.は、アルバムにアクセントをつけかたかったので、生楽器を中心に。イメージは"あじさいの咲く庭で雨の日に遊んだ幼少の頃の記憶と残像"です。
10.の環境音は、たまたまなのですが、畠山さんの地元でもある湘南の海岸に私の妻と遠足に行った際に収録してきました。タイトルは"おみやげ"という意味です。様々な環境音は音像に対して深い"奥行き"を出すと考えています。私にとって"音像""奥行き"は重要な要素です。特に"遠い音"は幼少の頃から私の大好きなサウンドで、naphサウンド・プロダクションの重要なテーマになっています。

−アルバムを作り終えての感想は?
naph:今まで作ったアルバムの中でも物凄くスムーズに制作できたので、環境や人との関わりの中で"自然のなりゆきに近いスタンスで完成できたと思っています。

−このアルバムをどんなリスナーに聴いてもらいたいですか?
Chihei:できるだけ多くの人に聴いてもらいたいと思います。どんな人とか選べる立場ではないので誰でも歓迎です!"どんな時"という質問であれば、ぜひ昼寝をしながら聴いてもらえると嬉しいですね。


ドローン - 反響と倍音の関係で無数のメロディを聴く


−アンビエントやドローンといったスタイルの音楽の魅力は何でしょう?
Chihei:ドローンは空間と時間に大きく影響を受ける音楽です。通常の音楽でも音が発せられた状態から耳に届くまでに様々な物理的反響を受けて耳に入ってくるのですが、ドローンではその反響が音楽自体に影響を与える割合がその他の音楽に比べて大きいように考えています。反響と倍音の関係で無数のメロディを聴くことができると同時に、もしかして今聴いている音は錯覚ではないのかといつも反問してしまったりもします。ドローンと主体的に向き合うことによって、そこに自然のような物理現象を発見する事もあります。時間に関しては同じような音を一定時間聴いていると音が体に入ってくるような、ある種のトランス状態に近い感覚になったりします。時間感覚が完全に狂ってしまうのです。最初の5分は我慢して聴いていたけど、残りの20分は気がつかないうちに過ぎていたというような経験もよくあります。


 



Profile
Chihei Hatakeyama
何重にもプロセッシングされた美しい音色が世界的に評価されているドローン・アーティスト。opitope、Luis Nanook、All The Frogs Are Our Weekendでも活動中。

naph
アコースティック楽器とフィールドレコーディングを中心としたポスト・エレクトロニカ・サウンドと呼べるナテュラルな音響作品を制作。RdL、All The Frogs Are Our Weekendでも活動中。




−はい、確かに。
Chihei:あとここからは余談なのですが、ドローンには人間の根源的な欲望に関する何かがあるような気がしていますが、それは現代の資本主義制度の中の都会的な生活にうまく馴染まないのかもしれません。それがドローンがマイナージャンルである事の証明になってしまっているのですが。まぁ忙しい生活を送っている中で、1曲1時間の曲とはなかなか聴けないという事もあると思います。太古の昔は、音楽は必ず祭りと一体になって存在していたはずで、そこではある種のドローンが流れていて、人々と共にあったと思うのです。現代社会でもある種のドローンに触れる場や機会を作ることによってより多くの人に認知される可能性はない訳ではないと思うので、そこは前向きにやっていきたいといつも思っています。

−naphさん、アンビエント・ミュージックについてはどうですか?
naph:メロディ中心の楽曲構築とは別のサウンド構成であるアンビエント・ミュージックは"サウンドそのもの"ですが、そこに"おもしろさ""制作追求の余地"があるのではないかと考えています。現時点で私のアンビエント・ミュージック、総括するとミュージックの制作追求の動機は主動的、受動的、主観、客観。対比するものも全て包括してより"自然に近い美しさを追求すること"にあるのかなと思います。

−タワーレコードでの購入には2曲入りの特典CDがつきますね。(1.Deep Sea  2.Railway)
Chihei:naphさんのスタジオでの録音です。記憶では6月のセッションだったような気がします。湿った空気が体に纏わりつくような中、重い機材を運び込みました。
naph:当初はアルバム収録も考えていた曲ですが、最終的にはアルバム全体に"安らかさ"を求めていたので、動的なこの2曲は特典CDにした方がいいかなと判断しました。
Chihei:スタジオの向かいにはラーメン屋さんとレンタルビデオショップがあって、どこか自分の故郷の国道沿いに似た雰囲気もあり、少し感傷的な気分になったことを思い出します。セッションは全部で2時間近く録音したのですが、その中からいい部分を抜粋しました。
naph:パラ録音はせずにあえて後でミックスできないように、2chのステレオで録音したんですよ。
Chihei:これはnaphさんのアイデアで、そういう録音はしたことがなかったのでとても驚きましたが、結果的には良かったと思います。

−いくつかのセレクトショップには、サイン入りCDを扱ってもらいますよ。
Chihei:それはいいですね!
naph:ジャケットに使わせてもらった渡辺香代子さんのアートワークも素晴らしいので、是非CDを手に取っていただきたいです。

−今日はありがとうございました。

(聞き手:ウェアラバウツ・レコーズ 竹内一弘) [2011.09.13]

サイン中のお二人 サイン入りCDはこんな感じ。(naphさんのサインが味わい深い...)

     

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